歯周病と関節リウマチは相互関係があるのです
リウマチとは、免疫の異常により、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。
日本のリウマチ患者数は、70万人とも100万人とも言われ、女性がより罹患し、30~60歳代 で多く発症します。
関節リウマチと歯周病は双方向の関係性があり、歯周病の人は関節リウマチを発症しやすく、 関節リウマチの人は歯周病になりやすいことがわかっています。
歯周病原因菌のひとつであるPg菌はアルギニンというもともと体内にある蛋白を、シトルリンという物質に変 化させることで知られています。
それを異物と認識して作られる抗体が、関節リウマチの診断に有用な抗 CCP抗体です。
この抗体の働きで、滑膜に炎症が起き、関節リウマチを発症します。
関節リウマチ患者の70 ~80%が持っているとされる抗CCP抗体は、歯周病が原因で作られる可能性もあるのです。
逆に関節リウマチの人が治療薬などで免疫力が低下していれば、容易に歯周病を併発しやすくなります。
また、関節症状が進行すれば歯磨きなどが難しくなり、口腔内の清潔が保たれずに 歯周病が悪化することもあるでしょう。
さらに関節リウマチでは、シェーグレン症候群という唾液分泌を低下させる膠原病を合併することもしばしばあり、口腔内衛生が一層保ちにくくなります。
悪循環に陥らないよう、歯周病は悪化させずきちんと管理することが大事なのです。
<歯周病セルフチェック>
リウマチの発症を予防する為にも、また現在リウマチ治療中の方はよくするためにも、歯周病の早期発見や治療が重要になります。
☑ ブラッシング時に歯ぐきから出血する ☑ 歯ぐきが腫れている・変色している
☑ 歯ぐきが下がって歯が長く見える
☑ 冷たいものがしみる
☑ 歯ぐきが痛い・出血している
☑ 歯がグラグラする
☑ 歯ぐきから膿が出る・口臭がある
<関節リウマチのお口の問題と対策>
◆不十分な口腔衛生状態
関節リウマチの主な症状に関節の痛みや、こわばりなどがあり、 歯ブラシを細かく動かすことが難しくなる場合があります。 そのような場合は、電動歯ブラシや洗口剤を導入しましょう。
◆口腔乾燥症
シェーグレン症候群を併発した場合は、唾液の分泌量が減少し、 お口の中が乾燥しやすくなるため、むし歯や歯周病が進行しや すい状態になります。お口の体操や唾液腺マッサージ、保湿剤・ 唾液分泌促進剤を使用してみましょう。
◆薬物による感染しやすい状態
関節リウマチ治療薬は免疫の機能を抑えることで症状を緩和さ せるため、健康な人と比べると歯周病が悪化しやすい状態になります。歯周病の治療をし、感染リスク・免疫低下を回避しましょう。
歯周病と関節リウマチの両方に罹患している患者に対して 歯周病治療を行うと、関節リウマチの症状が改善することが 報告されています。逆に、関節リウマチの治療により歯周病が 改善することも確認されています。
ご質問等ございましたら、お気軽に、たかはし歯科クリニックスタッフまでお願いします。