虫歯ができるメカニズム
虫歯ができるメカニズム〜虫歯の知識〜
虫歯というと歯に穴が開いた状態を思い浮かべる人が多いと思いますが、初めから大きな穴ができるわけではありません。虫歯の始まりはエナメル質の表面についたプラークと呼ばれる細菌の塊の中のミクロの世界から始まります。
食べ物が口に入ると、それを栄養に虫歯菌がすぐに酸を作ります。酸は歯の表面のミネラルを溶かします。これを脱灰と呼びます。それを防ぐのに役立つのが唾液です。
食事とともに唾液の分泌が増え、よく噛むことで分泌量が増えます。歯の表面では、ミネラルが浸透したり奪われたりすることを繰り返しています。奪われるのを脱灰、唾液のなかのミネラルが歯に戻って結晶化することを再石灰化と呼んでいます。このバランスが失われ、脱灰が一方的に多くなってしまうと歯のなかのミネラルがなくなってしまいます。
こう考えると何を食べるかも重要ですが、食事の回数が非常に重要になります。また一度食べると40分間ぐらいは歯が溶け出していると考えられます。だらだら食べ続けるとそれだけ歯が溶け出してしまう期間が長くなると考えられます。
同じチョコレートを食べるにしても1枚のチョコレートを1度に食べたほうが、3回に分けて食べるよりも虫歯になりにくいということになります。これをミュータンス菌の立場になって考えてみましょう。先生と太郎くんの会話から考えてみましょう。
先生「太郎くんは、1日の食事を朝昼晩にわけて食べるのと、朝に1日分を全部食べるのとではどちらが元気になる?」
太郎「うーん。それは朝昼晩の3回に分けた方が元気になるんじゃない。」
先生「そうだね。虫歯菌も3回に分けて食べた方が元気になる。だから虫歯になりやすいんだよ。おやつはダラダラ食べないで時間を決めて食べるようにしよう」
太郎「わかったよ。これからはおやつの時間を決めて食べてみるね」
ご自宅でもお子さんに伝える時にはこのように伝えてみてもわかりやすいかもしれません。
参考文献
世界最強の歯科保健指導 岡崎好秀著 クインテッセンス出版
「子供の虫歯予防は食生活が全て・・4人の子供に歯を磨かせなかった歯科医の話」黒沢誠人著
ヘルスケア歯科学会スライド